被害者の活動


 中継所が稼働を始めて3ケ月ほど過ぎた頃、緊急入院をする住民が続発したため「井草の空気と健康を考える会」を結成した。この会は後に『杉並病をなくす会』として再出発し、活動している。

 身体の不調を嘆きながらも、被害者達は学習会や住民集会を開き、署名を集め、都や区に陳情を行なってきた。マスメディアに訴え続け、恥を忍んでテレビに顔を晒した人もいる。講師として、地方各地で、プラスティックの圧縮による公害の実情を話している人もいる。病んだ身体をおして植物の傷みを撮り続け、地域で公害写真展を開いた人もいる。また、毎年、中継所周辺の住民にアンケート調査を実施し、被害状況を調べてきた。

 そして、もう一つの大きな柱となっている活動は、1997年7月に、東京都を相手どり、18名が公害等調整委員会(以下、公調委とする)に対して原因裁定の申請をしたことである。

 1997年9月に始まり、今年2002年3月までに、開かれた公調委は19回にも及んでいる。その中で4名の被害者は地域の全体状況と自身の健康被害を証言し、医師や化学者達も証言台にたっている。専門家の健康に関する証言内容の主なものを要約してみよう。

◇北里大学医学部 宮田幹夫教授(当時)

 井草地区からの患者の受診が増えだしたのは、1996年4月以降。心因性のものではなく、環境因子を原因とする中枢神経機能低下、自律神経機能低下の症状がみられるものが多い。人間が1日に身体に取り込む量は飲食物としては2kg位。これに対して空気は20kg位取り込むといわれている。しかも、飲食物として口から入る化学物質は、吸収されてから肝臓という解毒器官を通って全身を回るが、空気から取り込んだ化学物質は、そのまま血液に溶けこみ全身に回る。それ故に空気の汚染は一番怖いと証言し、更に化学物質過敏症についても詳しく言及した。

杉並病をなくす市民連絡会

杉並病は確かに存在し、 いまも無くなってはいません。 ただ、無いことにしたい人たちが 存在するだけです。

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